さる6/30、群馬県理学療法士協会 第29回臨床講習会にて講演させて頂く機会があった。
テーマは、「理学療法士の臨床教育とコーチング ―動機づけの技術」。
若手からベテランまで、たくさんの会員の皆様が参加して下さった。

まず私がお伝えしたかったことは、「人をコーチする」ということはどういうことなのか?
ひと言でいえば、「相手の成功を真に願った、圧倒的応援」と私は考える。
例えば、あなたがもし部下からこんな相談を持ち掛けられたら、どうアプローチしていくだろうか?
「実は、これからの進路・キャリアの進め方に迷っています。在宅分野にも興味がありますし、大学院なんかも考えています…」
このよくありがちな相談に対して、どう受け答えし、対応していくか。
もし仮に、一般論や、分かりきったことを答えようものなら、もうアウト笑
今、若い世代では年上世代の助言に解決策を見出せなくなって、全くの第三者であるオンラインコーチに相談する、というパターンが増えているという(日経新聞より)
例えば、私だったら、こんな形でアプローチしていくかもしれない。
「へー、そうなんだ。迷ってるんだね?」
「でもすごいじゃない、そんなこと考えてるなんて」
→と、今の状況を受け止める
「そもそも、どうしてそんなことを考えるようになったの?」
→こう考えるに至った、動機を探る
「もしさ、今の状態がどうなったら、理想な訳?」
→理想形、ビジョンを探る
「これをすることでさ、どんなことを手に入れたいんだろうね?」
→本当は思っている、大事な価値観やニーズを引っ張り出す
こんなふうに切り出していくだろう。

このような相談に対して、直対応して、「じゃあ、近くにどんな学校があるか、探そう」「えっ、訪問とかしたいの?」「こうしたらいいじゃない?」など、一般的アドバイスも悪くはないが、それはあまりにフツー笑
そうは言ってるけど、もしかすると、別なところで迷ってるのかもしれない。
この子が真に求めてることって何なんだろう?
ひょっとして、全然別で、人間関係で悩んでいるのか?
隣の芝生が青くなっていて、単に話せばスッキリする、なんてこともあるかもしれない。
本当に、このようなちょっとした相談でも、このように切り口や考え方があるのだ。
たしかに、コーチングでは色んなスキルがある。
ただ、私はこの場では、
「もっとシンプルに、問いかけてみる! 励まし、応援する!」
ことをご提案した。

実は今回、会場が母校でして、何十年ぶりかでようやく帰ってこれた、という感じ笑
恩師とも再会でき、何とも誇らしいというか、心から嬉しくなった。
今後ますます、このような他者を動機づけ、導くスキルは重要になるだろう。
これからも、実践家として、より現場に即した技術・考え方を業界に広める活動を続けていきたい。
私も、恩師の先生も共著者として執筆している書籍です。コーチングのことについて解説しております↓